民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の
活用に関する法律案要綱

第一 総 則

1 目 的

この法律は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的とすること。

(第1条関係)

2 定 義

  1. この法律において「金融機関」とは、預金保険法上の金融機関及び農水産業協同組合貯金保険法上の農水産業協同組合をいうこと。
  2. この法律において「預金等」とは、預金保険法又は農水産業協同組合貯金保険法上の付保対象とされているものをいうこと。
  3. この法律において「預金者等」とは、預金者その他の預金等に係る債権を有する者をいうこと。
  4. この法律において「異動」とは、預金等に係る預金者等その他関係者がする引出し、預入れ、振込みその他の事由をいうこと。
  5. この法律において「最終異動日等」とは、預金等に係る次に掲げる日のうち最も遅い日をいうこと。
    1. 当該預金等に係る異動が最後にあった日
    2. 当該預金等について将来における債権の行使が期待される事由がある場合にあっては、当該債権の行使が期待される日
    3. 当該預金等に係る金融機関が当該預金等に係る預金者等に対し、第二の一1(2)の事項を通知した日(当該通知が当該預金者等に到達した場合等に限る。)
    4. 当該預金等が預金等に該当することとなった日
  6. この法律において「休眠預金等」とは、最終異動日等から10年を経過した預金等をいうこと。

(第2条関係)

第二 休眠預金等に係る資金の移管及び管理等

一 休眠預金等に係る資金の移管及び管理

1 金融機関による公告、通知等

  1. 金融機関は、最終異動日等から9年を経過した預金等があるときは、当該預金等に係る最終異動日等から10年6月を経過する日までに、当該預金等について次に掲げる事項を公告しなければならないこと。
    1. 当該預金等に係る最終異動日等に関する事項
    2. 当該預金等に係る2の休眠預金等移管金(③において単に「休眠預金等移管金」という。)の納期限
    3. 休眠預金等移管金が預金保険機構に納付されたときは、当該納付の日において当該預金等に係る債権が消滅する旨
    4. 5(2)の休眠預金等代替金の支払に関する事項
    5. その他主務省令で定める事項
  2. (1)の場合において、金融機関は、(1)による公告に先立ち、(1)の預金等に係る預金者等に対し、当該預金等に係る金融機関・店舗・預金等の種別、口座番号及び額等の通知を発しなければならないこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでないこと。
    1. 最終異動日等から9年を経過した日における当該預金等に係る債権の元本の額が主務省令で定める額(一万円を想定)に満たない場合
    2. 当該預金者等の住所その他の当該通知を受ける場所が明らかでない場合として主務省令で定める場合
    3. その他主務省令で定める場合
  3. (1)及び(2)は、①破産手続、②再生手続、③更生手続、④その他主務省令で定める事由の開始した金融機関であって、各手続等が終了していないものについては、適用しないこと。
  4. 金融機関は、預金者等から当該預金者等に係る(1)の預金等に関して(1)に掲げる事項等について情報の提供を求められた場合には、その求めに応じなければならないこと。

(第3条関係)

2 休眠預金等移管金の納付

金融機関は、1(1)の公告をした日から2月を経過した休眠預金等があるときは、当該公告をした日を基準として定める納期限までに、その納付の日において現に預金者等が有する当該休眠預金等に係る債権(元本及び利子等に係るものに限る。)の額に相当する額として主務省令で定める額の金銭(以下「休眠預金等移管金」という。)を、預金保険機構に納付しなければならないこと。

(第4条関係)

3 延滞金等

  1. 金融機関は、休眠預金等移管金をその納期限までに納付しない場合には、預金保険機構に対し、未納の休眠預金等移管金の額にその納期限の翌日からその納付の日までの日数に応じ年14.5パーセントの割合を乗じて計算した額の延滞金を納付しなければならないこと。
  2. 金融機関は、最終異動日等から10年6月を経過する日までに1(1)による公告をしなかった休眠預金等に係る休眠預金等移管金がある場合には、預金保険機構に対し、当該休眠預金等移管金の額に当該最終異動日等から10年6月を経過する日の翌日からその公告の日までの日数に応じ年14.5パーセントの割合を乗じて計算した額の過怠金を納付しなければならないこと。

(第5条関係)

4 休眠預金等に関する情報提供等

  1. 金融機関は、2による休眠預金等移管金の納付に際し、当該休眠預金等移管金に係る休眠預金等に係る預金者等の氏名又は名称、預金等の種別、預金等に係る債権の内容等を、預金保険機構に対して、電子情報処理組織を使用して又は磁気テープ等により提供しなければならないこと。
  2. 預金保険機構は、休眠預金等に係る預金者等であった者から5(2)の休眠預金等代替金(既に支払が行われたものを除く。)に係る休眠預金等に関して(1)により提供を受けた情報の提供を求められた場合には、その求めに応じなければならないこと。
  3. (2)の求めは、預金保険機構から委託を受けて支払等業務を行う金融機関がある場合にあっては、当該金融機関を通じて行わなければならないこと。

(第6条関係)

5 休眠預金等に係る債権の消滅等

  1. 休眠預金等に係る債権について2による休眠預金等移管金の納付があったときは、当該納付の日において、当該債権は、消滅すること。
  2. (1)により休眠預金等に係る債権が消滅した場合において、当該休眠預金等に係る預金者等であった者は、預金保険機構に対して主務省令で定めるところによりその旨を申し出たときは、預金保険機構に対し、当該債権の元本の額に利子に相当する金額を加えた額の金銭(以下「休眠預金等代替金」という。)の支払を請求することができること。
  3. (2)の申出及び支払の請求は、預金保険機構から委託を受けて支払等業務を行う金融機関がある場合にあっては、当該金融機関を通じて行わなければならないこと。
  4. 休眠預金等代替金の支払は、預金保険機構の事務所((3)の場合にあっては、(3)の委託を受けた金融機関の営業所又は事務所であって当該委託に係る業務を取り扱うもの)においてしなければならないこと。ただし、預金保険機構((3)の場合にあっては、(3)の委託を受けた金融機関)と当該支払の請求を行う者との間に別段の合意がある場合は、この限りでないこと。

(第7条関係)

6 休眠預金等交付金の交付等

預金保険機構は、毎事業年度、前事業年度において2により納付された休眠預金等移管金に相当する額から二の6の準備金の額及び二の1の休眠預金等管理業務に必要な経費を合算した額を控除した金額のうち、第三の三の7(1)の内閣総理大臣の認可を受けた事業計画の実施に必要な金額(第三の三の1の民間公益活動促進業務(第三の二の1(2)③及び2(2)②において単に「民間公益活動促進業務」という。)に係る人件費その他の内閣府令で定める事務に要する経費の財源をその運用によって得るために必要な金額を含む。以下「休眠預金等交付金」という。)を第三の三の1の指定活用団体に交付し、なお残余があるときは、その残余の額を将来における休眠預金等交付金の交付、二の1の休眠預金等管理業務に必要な経費又は二の6の準備金の積立てに充てるための資金として積み立てなければならないこと。

(第8条関係)

二 預金保険機構の業務の特例等

1 預金保険機構の業務の特例

預金保険機構は、預金保険法第34条に規定する業務のほか、第一の1の目的を達成するため、休眠預金等移管金の収納、休眠預金等代替金の支払、休眠預金等交付金の交付等(以下「休眠預金等管理業務」という。)を行うこと。

(第9条関係)

2 支払等業務の委託

  1. 預金保険機構は、休眠預金等移管金を納付した金融機関に対し、当該休眠預金等移管金に関する休眠預金等代替金に係る支払等業務の全部又は一部を委託することができること。
  2. (1)の金融機関は、預金保険機構から(1)の委託の申出を受けたときは、預金保険機構と当該委託に係る契約をしなければならないこと。
  3. 預金保険機構は、(1)の委託に係る契約の条項については、あらかじめ、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならないこと。

(第10条関係)

3 手数料

預金保険機構は、2(1)による支払等業務の委託をしたときは、当該委託を受けた金融機関に対し、当該委託に係る契約に基づき当該金融機関が行う業務に通常必要となる経費等を勘案して内閣総理大臣及び財務大臣が定める額の手数料を支払わなければならないこと。

(第11条関係)

4 算出方法書

預金保険機構は、休眠預金等管理業務の開始の際、6の準備金の算出方法書を作成し、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならないこと。これを変更しようとするときも、同様とすること。

(第12条関係)

5 区分経理

預金保険機構は、休眠預金等管理業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならないこと。

(第13条関係)

6 準備金の積立て

預金保険機構は、5の特別の勘定について、毎事業年度末において、休眠預金等代替金の支払に要する費用の支出に充てるべき準備金を計算し、これを積み立てなければならないこと。

(第14条関係)

7 借入金

  1. 預金保険機構は、休眠預金等管理業務を行うため必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をすることができること。
  2. (1)による借入金の現在額は、政令で定める金額を超えることとなってはならないこと。

(第15条関係)

第三 休眠預金等交付金に係る資金の活用

一 総則

1 休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念

  1. 休眠預金等交付金に係る資金は、人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動であって、これが成果を収めることにより国民一般の利益の一層の増進に資することとなるもの(以下「民間公益活動」という。)に活用されるものとすること。
  2. 休眠預金等交付金に係る資金は、民間公益活動の自立した担い手の育成に資するとともに、金融機関、政府関係金融機関等が行う金融、民間の団体による助成、貸付け又は出資(以下「助成等」という。)等を補完するための資金の供給を行うことにより、民間公益活動に係る資金を調達することができる環境の整備の促進に資するよう活用されるものとすること。
  3. 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが預金者等の預金等を原資とするものであることに留意し、多様な意見が適切に反映されるように配慮されるとともに、その活用の透明性の確保が図られなければならないこと。
  4. 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが大都市その他特定の地域に集中することのないように配慮されなければならないこと。
  5. 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、複数年度にわたる民間公益活動に対する助成等、社会の諸課題を解決するための革新的な手法の開発を促進するための成果に係る目標に着目した助成等その他の効果的な活用の方法を選択することにより、民間の団体の創意と工夫が十分に発揮されるように配慮されるものとすること。

(第16条関係)

2 公益に資する活動の定義等

  1. 1の(1)の「公益に資する活動」とは、次に掲げる活動をいうこと。
    1. 子ども及び若者の支援に係る活動
    2. 日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動
    3. 地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動
    4. ①~③までに準ずるものとして内閣府令で定める活動
  2. 内閣総理大臣は、(1)④の内閣府令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、休眠預金等活用審議会の意見を聴かなければならないこと。
  3. 休眠預金等交付金に係る資金は、これが次のいずれかに該当する団体に活用されることのないようにしなければならないこと。
    1. 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体
    2. 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする団体
    3. 特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする団体
    4. 暴力団
    5. 暴力団又はその構成員等の統制の下にある団体

(第17条関係)

二 基本方針及び基本計画

1 基本方針

  1. 内閣総理大臣は、一の1の休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念にのっとり、休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこと。
  2. 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとすること。
    1. 休眠預金等交付金に係る資金の活用の意義及び目標に関する事項
    2. 休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本的な事項
    3. ①の目標を達成するために必要な民間公益活動促進業務に関する事項
    4. 三の1による指定の基準及び手続に関する事項
    5. 指定活用団体の作成する事業計画の認可の基準及び手続に関する事項
    6. 休眠預金等交付金に係る資金の活用の成果に係る評価の実施に関する事項
    7. その他休眠預金等交付金に係る資金の活用に関し必要な事項
  3. 内閣総理大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、休眠預金等活用審議会の意見を聴かなければならないこと。
  4. 内閣総理大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこと。
  5. 内閣総理大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更しなければならないこと。
  6. (5)により基本方針が変更されたときは、(3)及び(4)と同様とすること。

(第18条関係)

2 基本計画

  1. 内閣総理大臣は、毎年度、基本方針に即して、休眠預金等交付金に係る資金の円滑かつ効率的な活用を推進するための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならないこと。
  2. 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとすること。
    1. その年度における休眠預金等交付金の額の見通し及び休眠預金等交付金に係る資金の活用の目標に関する事項
    2. ①の目標を達成するために必要な民間公益活動促進業務に関する事項
    3. 次に掲げる団体の選定に係る基準及び手続に関する事項
      • ⅰ 民間公益活動を行う団体であって、民間公益活動の実施に必要な資金について、休眠預金等交付金に係る資金を原資とする助成等を受けるもの(ⅱの資金分配団体を除く。以下単に「民間公益活動を行う団体」という。)
      • ⅱ 民間公益活動を行う団体に対し助成等を行う団体であって、助成等の実施に必要な資金について、指定活用団体から休眠預金等交付金に係る資金を原資とする助成又は貸付けを受けるもの(以下「資金分配団体」という。)
    4. 休眠預金等交付金に係る資金の活用の成果に係る評価の基準及び公表に関する事項
    5. その他休眠預金等交付金に係る資金の活用に関し必要な事項
  3. 内閣総理大臣は、基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、休眠預金等活用審議会の意見を聴かなければならないこと。
  4. 内閣総理大臣は、基本計画を定め、又は変更したときは、これを公表しなければならないこと。

(第19条関係)

三 指定活用団体

1 指定等

内閣総理大臣は、民間公益活動の促進に資することを目的とする一般財団法人であって、2(1)の民間公益活動促進業務(以下「民間公益活動促進業務」という。)に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、指定活用団体として指定することができること。

  1. 民間公益活動促進業務の実施に関する計画が、民間公益活動促進業務の適確な実施のために適切なものであること。
  2. ①の計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的基礎を有するものであること。
  3. 役員又は職員の構成が、民間公益活動促進業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
  4. 民間公益活動促進業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって民間公益活動促進業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
  5. 指定を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者でないこと。
  6. 役員に禁錮刑等の執行終了等から3年を経過しない者がいないこと。

(第20条関係)

2 民間公益活動促進業務

  1. 指定活用団体は、次に掲げる業務を行うものとすること。
    1. 資金分配団体に対し、助成又は貸付けを行うこと。
    2. 民間公益活動を行う団体に対し、貸付けを行うこと。
    3. 休眠預金等交付金の受入れを行うこと。
    4. 民間公益活動の促進に関する調査及び研究を行うこと。
    5. 民間公益活動の促進に資するための啓発活動及び広報活動を行うこと。
    6. ①から⑤までに掲げる業務に附帯する業務
  2. 指定活用団体は、(1)の②の業務を行うときは、金融機関その他の団体に対し、その一部を委託することができること。

(第21条関係)

3 民間公益活動促進業務の適正な実施等

  1. 指定活用団体は、民間公益活動促進業務を行うに当たっては、休眠預金等交付金に係る資金がこの法律並びに基本方針及び基本計画に従って公正かつ効率的に活用されるようにしなければならないこと。
  2. 資金分配団体及び民間公益活動を行う団体は、この法律並びに基本方針及び基本計画並びに助成等の目的に従って誠実にその事業を行わなければならないこと。
  3. 指定活用団体は、(2)の事業が適正に遂行されるよう、2の(1)①の業務を行う場合にあっては資金分配団体を、2の(1)②の業務を行う場合にあっては民間公益活動を行う団体を、それぞれ監督しなければならないこと。
  4. 資金分配団体は、民間公益活動を行う団体が休眠預金等交付金に係る資金を活用して民間公益活動を適切かつ確実に遂行するように、民間公益活動を行う団体に対する必要かつ適切な監督等を行うための措置を講ずるものとすること。
  5. 資金分配団体及び民間公益活動を行う団体の決定は、公募の方法により行うものとすること。

(第22条関係)

4 民間公益活動促進業務規程

  1. 指定活用団体は、基本方針に即して民間公益活動促進業務に関する規程(以下「民間公益活動促進業務規程」という。)を定め、民間公益活動促進業務の開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならないこと。これを変更しようとするときも、同様とすること。
  2. 民間公益活動促進業務規程には、次に掲げる事項を定めておかなければならないこと。
    1. 資金分配団体及び民間公益活動を行う団体の選定の基準、助成又は貸付けの申請及び決定の手続その他助成又は貸付けの方法
    2. ①に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
  3. 内閣総理大臣は、(1)の認可をした民間公益活動促進業務規程が民間公益活動促進業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その民間公益活動促進業務規程を変更すべきことを命ずることができること。

(第23条関係)

5 役員の選任及び解任

  1. 指定活用団体の役員の選任及び解任は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないこと。
  2. 内閣総理大臣は、指定活用団体の役員が、この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反した場合等には、指定活用団体に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができること。

(第24条関係)

6 役員及び職員の地位

民間公益活動促進業務に従事する指定活用団体の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすこと。

(第25条関係)

7 事業計画等

  1. 指定活用団体は、毎事業年度開始前に、基本計画に即してその事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならないこと。これを変更しようとするときも、同様とすること。
  2. 閣総理大臣は、(1)による認可をしようとするときは、あらかじめ、休眠預金等活用審議会の意見を聴かなければならないこと。
  3. 指定活用団体は、(1)の認可を受けたときは、遅滞なく、その事業計画及び収支予算を公表しなければならないこと。
  4. 指定活用団体は、毎事業年度経過後3月以内に、その事業年度の事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、内閣総理大臣に提出するとともに、これを公表しなければならないこと。

(第26条関係)

8 休眠預金等交付金の使途及び区分経理

  1. 指定活用団体は、休眠預金等交付金を民間公益活動促進業務に必要な経費(人件費その他の内閣府令で定める事務に要する経費を除く。)以外の経費に充ててはならないこと。
  2. 指定活用団体は、民間公益活動促進業務に関する経理とその他の業務に関する経理とを区分して整理しなければならないこと。

(第27条関係)

9 運用資金の運用等

  1. 指定活用団体は、民間公益活動促進業務に係る人件費その他の内閣府令で定める事務に要する経費の財源をその運用によって得るために運用資金を設け、休眠預金等交付金のうち運用資金に充てるべきものとして交付を受けた金額及び(3)により組み入れた金額をもってこれに充てるものとすること。
  2. 指定活用団体は、次の方法による場合を除くほか、運用資金を運用してはならないこと。
    1. 国債、地方債又は政府保証債
    2. 内閣総理大臣の指定する金融機関への預金
    3. その他①及び②に準ずるものとして内閣府令で定める方法
  3. 指定活用団体は、運用資金の運用によって生じた利子等を民間公益活動促進業務に係る人件費その他の内閣府令で定める事務に要する経費に充ててなお剰余があるときは、これを運用資金に組み入れるものとし、当該組み入れた額を限度として、民間公益活動促進業務に必要な経費に充てるため、運用資金を取り崩すことができること。

(第29条関係)

10 内閣総理大臣の納付命令

内閣総理大臣は、運用資金の額が民間公益活動促進業務の実施状況その他の事情に照らして過大であると認めた場合等は、指定活用団体に対し、速やかに、交付を受けた休眠預金等交付金の全部又は一部に相当する金額を預金保険機構に納付すべきことを命ずることができる。

(第30条関係)

11 監督命令

内閣総理大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、指定活用団体に対し、民間公益活動促進業務に関し監督上必要な命令をすることができること。

(第31条関係)

12 指定の取消し等

  1. 内閣総理大臣は、指定活用団体が民間公益活動促進業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき等は、その指定を取り消し、又は期間を定めて民間公益活動促進業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができること。
  2. (1)により指定を取り消した場合等において、内閣総理大臣がその後に新たに指定活用団体を指定したときは、従前の指定活用団体の民間公益活動促進業務に係る財産及び負債は、新たに指定を受けた指定活用団体が承継すること。

(第33条及び第34条関係)

四 休眠預金等活用審議会

1 設 置

  1. 内閣府に、休眠預金等活用審議会を置くこと。
  2. 休眠預金等活用審議会は、次に掲げる事務をつかさどること。
    1. 民間公益活動に関し第三の一の2(2)の、基本方針に関し第三の二の1(3)の、基本計画に関し第三の二の2(3)の、指定活用団体の事業計画及び収支予算に関し第三の三の7(2)の事項を処理すること。
    2. ①の事項その他休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する重要事項を調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、意見を述べること。
    3. 民間公益活動促進業務の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に勧告すること。
  3. 内閣総理大臣は、(2)③の勧告に基づき講じた措置について休眠預金等活用審議会に報告しなければならないこと。

(第35条関係)

2 組織及び運営

  1. 休眠預金等活用審議会は、委員10人以内で組織すること。
  2. 休眠預金等活用審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができること。
  3. 委員は、民間公益活動に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命すること。
  4. 専門委員は、(2)の専門の事項に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
  5. 委員及び専門委員は、非常勤とすること。
  6. 休眠預金等活用審議会に会長を置き、委員の互選により選任すること。

(第36条から第39条まで関係)

3 資料の提出等の要求

休眠預金等活用審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができること。

(第40条関係)

第四 雑 則

1 預金保険法の適用

この法律の規定により預金保険機構の業務が行われる場合には、この法律の規定によるほか、預金保険法を適用すること。

(第42条関係)

2 報告又は資料の提出及び立入検査

  1. 行政庁は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、金融機関等又は指定活用団体に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができること。
  2. 行政庁は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、その職員に金融機関等若しくは指定活用団体の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができること。

(第43条及び第44条関係)

3 休眠預金等代替金の課税関係

  1. 休眠預金等代替金が支払われた場合には、当該支払を受けた金額のうち第二の一の5(2)の利子に相当する金額は、当該休眠預金等代替金に係る休眠預金等の利子等の額とみなして、所得税法その他の所得税に関する法令の規定を適用すること。
  2. (1)の支払を受けた金額のうち第二の一の5(2)の利子に相当する金額は、道府県民税上の利子とすること。

(第45条及び附則第5条関係)

4 民事執行法及び民事保全法の特例等

預金保険機構の委託を受けて支払等業務を行う金融機関がある場合には、休眠預金等代替金の支払を目的とする債権であって当該金融機関が当該業務において取り扱うものに対する強制執行、仮差押え又は国税滞納処分(その例による処分を含む。)については、預金保険機構が送達を受けるべき場所は当該金融機関の営業所又は事務所とし、当該金融機関を送達受取人とすること。

(第47条関係)

5 政府による周知等

  1. 政府は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動促進業務に活用するとのこの法律の趣旨及び休眠預金等代替金の支払手続等に関する事項その他この法律の内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとする。
  2. 預金保険機構は、支払等業務の委託先に関する事項を公表するとともに、毎年少なくとも一回、休眠預金等移管金の納付の状況、休眠預金等代替金の支払の実施の状況その他のこの法律の実施の状況に関する事項を公表するものとする。

(第48条関係)

第五 罰 則

虚偽の報告、立入検査の忌避、他人になりすまして休眠預金等代替金の支払を受けること等を目的として休眠預金等に係る預貯金通帳等を譲り受けること等について、所要の罰則規定を設けること。

(第55条から第61条まで関係)

第六 施行期日等

1 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、第二の二及び第四の1は公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から、第三(三を除く。)は公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から、それぞれ施行すること。

(附則第1条関係)

2 この法律の規定は、施行日以後に最終異動日等から9年を経過することとなる預金等について適用すること。

(附則第2条関係)

3 指定活用団体の指定がされた日から同日以後5年を経過する日の属する当該指定活用団体の事業年度の末日までの間は、第三の三8(1)にかかわらず、指定活用団体は、休眠預金等交付金を人件費その他の内閣府令で定める事務に要する経費を含む民間公益活動促進業務に必要な経費に充てることができること。

(附則第3条関係)

4 この法律の規定については、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。

(附則第9条関係)